12.21.2010

SASジープ塗装編(ジープ)

それでは塗装編に入ります。例によって途中画像はありませんので、画像と文章で何となく察して頂ければ幸いです。


 ■ジープ、タイヤ、機銃、フィギュアには持ち手を付けておきます。
 
ジープはベースとの固定用に座席の間の部分に3ミリねじを仕込んでいます。上から底を削った弾薬箱でネジの頭を隠しています。SASならではの技です。




■フィギュアとタイヤ、機銃、小物類は5ミリプラ棒にステンレスを刺した持ち手を使っています。
何年も使っているのでかなり年期が入っています。











 ■最初にカンペのラッカーサーフェサーを吹き付けます。取扱いは少々面倒ですが、模型用に比べると表面の耐久性や剥がれに強いです。ラッカーシンナーで希釈するのでプラのパーツが溶けないよう、薄く重ねる必要があります。

ジープにはオリーブドラブ、茶色、黒などを混色した下地色を吹き付けました。




フィギュアには少しサンドを加えたホワイトを吹きつけします。
油絵具がよく乗るようにつや消し度合いを強くています。

乾燥後、埃や粒子のたまってしまった箇所をペーパーで取りました。






 ■砂漠のジープのウェザリングは?
乾燥している土地なので錆は浮かないでしょうね。
なので砂や乗員の乗り降りによる摩耗や剥がれを施していくことにしました。
あとは漏れたオイルやガソリン、それに付着する砂埃です。



剥がれやこすれを表現するのにアーマーモデリング誌で吉岡氏が紹介していたシリコンバリアを使用してみました。シリコンバリア法を知る以前に作ったベントレーSASは塗装面を直接、刃物やサンドペーパー等で剥がました。これは力のいれ具合が難しく、サーフェサーの層まで剥がれてしまい、後でタッチアップで修正が必要でした。
シリコンバリアならもっと簡単にできるのではと思い今回挑戦しました。



下地色の上に剥がしたい箇所だけにシリコンバリアを塗ります。
全体にサンド色を吹きつけ、乾燥後に剥がします。
簡単に剥がれるので、剥がし過ぎに注意です。(ボクはやり過ぎました)
ダメージ箇所は刃物やニードル、爪楊枝などでちょこょこ剥がします。また乗員がよく触れそうな部分はスポンジやすりでグラデーションを付けるように擦っています。

 剥がし終わったら、油絵具のローアンバーやバーントアンバーをウオッシングします。
ボンネット、車体サイドなど、面積の大きい部分には基本色より明るい色を混色した油絵具を擦り込んで、単調にならないようにしました。
角やハイライトの部分にはさらに明るい色を入れます。






■機銃は全体を黒に茶色混ぜたものを吹きつけます。暗部に黒を墨入れした後、ミグピグメントのガンメタルを軽く擦ります。
ハイライト部分には6Bの鉛筆(コンテ)を擦っています。





 

 ■ジェリカンや弾薬箱など車体と同色部分は少し色味を変えています。
毛布やバッグ類は油絵具を使って明暗を付けています。フィギュアと同じ塗り方です。

次回はラストになるフィギュア塗装編です。

12.15.2010

SASジープ 展示台編

最近、以前にも増して物忘れが激しくて困っています。
今朝、ガレージで電動ドリルを探していたら、棚から電動タッカー(ホチキス)が出てきました。
これは昨年、作業机のシート生地を貼り替える時に買ったものです。
先月、原チャリのシートの張り替えをしたのですが、その時はこの電動工具の存在など少しも思い浮かばす、手動のタッカー買って来て作業したのです。(5000円もした)
あーあ、こんな良い物持っていたのに忘れてしまったとは・・・宝の持ち腐れだよ。

で、今朝の電動ドリルは結局ガレージから見つからず、仕事場に出勤。
あちこちを探したのですが発見できず、また買うしかないと諦めかけていた時、Doozyさんがロフトに登って、探し始めました。
彼に「そんな所に仕舞うわけ無いよと」と言ったのもつかの間、彼は簡単に探し出しました。 自分の持ち物だから、ボクしか仕舞わないはずなんだよね。でもそこに仕舞った記憶は全くなし・・・
我ながら、あまりのお爺ちゃんぶりに呆れてしまいました。大丈夫かなオレ??


^..^  ■ □ □ □ ■ ^..^ 


それではまだ記憶が有るうちにベース編を書きましょう。

今回はアイランド形式にして無駄な空間のカットをすると共に木製ベースの木目をきれいに見せる事にしました。


■木製ベース
ネロオリジナルスのオーダー品です。
希望の寸法で作れるのと、木目がきれいなタモ材が良いです。タモは野球のバットの材料として使われるくらいなので、狂いやそりなどがほとんどでません。

色つけはオイルステンのブラウン系です。3回ほど塗り重ねた後、よく乾燥させ、深みを出すために油絵具のローアンバーを全体にすり込んでいます。乾く前に溝や段差の部分に油絵具を残すように拭き取ります。最後に油絵具が乾いたら、家具用のビーズワックスで磨いて終わりです。


■ネームプレート
1940年代の英国という設定に合うフォントを選んでいます。
白いフィルムベースの出力紙にALPSのプリンターで出力。
クリアアクリルは面取り加工をしたもの。
これらをはめ込む溝を木製ベースに直接彫っています。アクリル加工とベースの彫り加工はSWASHメンバーの志渡さんにお願いしました。
*画像は同じ方法で作った別の作品のものです。



■アイランド
ベース上に紙を敷き、ジープ、フィギュアをレイアウトしながら、ペンでアイランドの型を書いていきます。
これを下絵にし、イラストレーターで原寸作図。CAD/CAMのフォーマットに変換したデータを元に5mm厚のABS板を切削しました。
アイランドはムクではなく5ミリ幅の枠です。
マットブラックで塗装し、木製ベースに接着します。木製ベース、アイランドの側面を養生するため、マスキングします。



アイランドの中にはハレパネを貼っています。その上からテクスチャーを付けるためにテクスチャー用にアクリルメデュームを塗布。乾燥しないうちに砂、石などを撒きます。このあたりは特に変わった事はしていませんね。


乾燥したら、数色のファレホをエアブラシで吹き付けしたり、ピグメントで変化をつけ、単調なサンド色にならないようにしました。左側に草を少し植えてみました。

ベースはこれでほぼ完成です。後は塗装の終わったジープとフィギュアを乗せればOKです。

次回はジープとフィギュアの塗装編です ^..^ 

12.09.2010

SAS Jeep 3号車

今夜は東京ミッドタウンに行ってきました。
あちらこちらに趣向を凝らしたイルミネーションがありました。

↑イルミネーションが良く見える3階の中華レストランからの眺めです。


夜景はさておき・・・


SASジープ3号車です。

■武装はCal 50 M2 Aircraftとビッカースの組み合わせ。
放熱穴の開いたバレルスリーブは航空機搭載タイプのCal.50で、実にカッコイイ!
弾薬ベルトはアドラースネストの真鍮製弾薬とボイジャーのエッチングクリップです。
弾薬は30発+エッチングはかなり高価なものとなりましたが、プラ製に比べるとかなり精密感が出たと思います。
クリップを同じ様に丸めて何個も作るのは結構大変で、ジグを作ればもっと楽に出来たかもしれません。
ちょっと弾の間隔が開きすぎてしまったのは反省点ですね。
射撃後にクリップはバラバラになるので空薬莢と共にジープの床面やジェリカンの周りに蒔いています。



■ボンネットには1列のジェリカンとカモフラージュネット、右フェンダー上にオイル缶をロープで固定した積荷を置き、先の2台とは変化を付けてみました。



■後部はプラスモデルの木箱と弾薬箱、オイル缶などを積み込んだ上に毛布類を重ねています。
不毛の土地を何千キロも移動するジープには水筒やカップ類の生活用品も欠かせない装備です。
バッグ類はジェリカンラックに巻き付けたり、ジェリカンの持ち手に通したりと、色々な方法で下げています。乗員になったつもりで荷物の配置や固定方法を考えると楽しいと思いますよ。




■スペアタイヤはいくつかの方法で固定している様です。通常のジープにみられるラックを使ったり、直接リアのパネルにボルト留めしていたり。よくわかる資料がないのですが、当時の写真からスペアタイヤの固定方法を推測しています。車体に固定したタイヤに重ねるように縛り付けられたタイヤをよく見かけるところから、かなりタイヤの消耗があったのでしょうね。スペアタイヤもSASジープの特徴を出せる装備品ですね。




■その他キットにはSAS装備品だけではなく、シープそのものをアップデートするパーツを用意しています。
例えば、メーターやスイッチ類を細かく再現したダッシュボード。これにはサンコンパスの基部もついています。
また使い込んでへたったクッションがついたシート、その下にはキャップがついたガソリンタンクもあります。
ペダル類、車内の補強用プレート、前バンパーやボンネットの留め具などなど、他のジープ用ディテールアップ製品を買わなくても、十分なパーツが入っていると思います。



■フィギュアは2号車同様の方法でスクラッチしています。




■ドライバーが腰に付けているのはPrismatic Marching Compasです。
キットにはケース、3様のコンパス(閉状態、開状態、使用時)が入っています。


 ■助手席の隊員がしているゴーグルはキットに入っていますので(2種入)、スクラッチする時に役立つと思います。










次回はベース編です。

12.04.2010

SAS Jeep 2号車

昨晩の雨風がかなり凄かった為、道路はあちこち落ち葉だらけ、アトリエに出勤する途中、冠水している場所もありました。日中は12月とは思えない暖かさで、なんだか調子が狂ってしまいます。
でもちゃんと新製品のフィギュアの型どり作業をやりましたよ。

それでは2号車の製作についてです。


■武装はビッカース単体x2のシンプルなもの。ベルトリンクなどで観られるレストア車の中にはかなりの重武装をしているのがありますが、ジープが機銃の重さでへたってしまいそう。実際は多くの機銃は積んでいないと思われます。レストア車についている機銃は木製のレプリカだったりしますしね。
でも模型としての面白さを求めるなら、沢山積むのもありだと思いますよ。その方がカッコイイし!

私も超重装備バージョンを作ってみようかな・・・




■積荷はおきまりのジェリカンにバッグ類、弾薬箱、ストックパーツから手榴弾、木箱、バーリンデンの食料入り大袋?、スコップなど。
ジープは3台あるので、それぞれに個性が出るよう荷物を選んで積んでいます。
ジェリカンラックは1号車と異なり、サイドの板が多いタイプ。これは改造キットNo.2に入っています。
カモフラージュネット、毛布は必需品なので、パテやガーゼなどから自作したい所です。
ここで使ったカモフラージュネットはバーリンデン製。水溶きマットメデュームで形を整えていきます。

改造キットに入っているエッチング製サンドチャンネルはHold & Foldを使い曲げ加工しました。長さがあり、細い縁などを曲げるには専用工具があるときれいにできます。
サンドチャンネルは使い込んだ感じを出すためにキットのタイヤを転がして凹みを付けています。昔のタミヤのキットの刷り込みでしょうか、サンドチャンネルを付けると、SASジープらしさが出てきますね。




フィギュアは2体ともスクラッチ。石井啓之さん原型のフィギュア(1号車)と違和感が出ないように作ったつもりですが・・・なんか汗臭そうな感じですね。
SAS隊員はアイルランド、スコットランド、オーストラリアの出身者が多い様なので、ホーネットのヘッドはそんな雰囲気の顔を選んでいます。

ドライバーは長袖のシャツの上からレザージャーキンを着用しています。
助手席の隊員は典型的な短パン姿にしています。
2体ともNo.1キットのフィギュアをベースにポーズ替えをした後、マジックスカルプで服を作っています。髭やヘッドリングなどはデューロパテです。







今回、本格的に使用してみたマジックスカルプでしたが、粒子が細かく、水でならすときれいな表面になります。乾燥後の切削性も良かったです。ただ食いつきは あまり強くないのでパテの盛りが少ない箇所は磨きや彫りを入れると簡単に剥がれてしまいました。固まりで使う方が向いているかも。
それでもかなり気に入ったので、今後はこれを使っていきたいです。




次回は3号車。その後はベース編、塗装編へと続きます。^..^

12.03.2010

今日は忘年会でした。

今宵はSWASHメンバー3人+DOOZY MODELWORKS・奥川さんと早めの忘年会。

アトリエの最寄り駅に繰り出し、男4人はたらふく食べて、飲んで楽しく過ごしてきましたよ。 

今後のメーカーとしての展開やキット化したいアイテムについて語り合いました。

世は不景気で、我々も決して楽な状況ではありませんが、自分達のやりたい事があり、それをやれるのは幸せだと思います。 


大変だけど、頑張って良い商品を作れば、結果が伴うという事を学んできました。

反面、海外メーカーにパクられる危機も感じるようになりました。


でも自分達の頭の中にはアイデアがまだまだ一杯あるので、SWASHの創作意欲は尽きる事がないでしょう。


これからも受け身にならず、後追いもせず、自分達のスタンスで面白い物を発信して行きたいです。

来年のSWASH DESIGNの活動をお楽しみに!


お友達のDOOZY MODELWORKSも新しいジャンルを開拓しようと頑張っています。

こちらもよろしくお願いします!

12.02.2010

SAS Jeep 1号車

それではSAS Jeepビネットの製作記です。

製作過程の画像をお見せしたかったのですが、製作中の写真はほとんど撮っていませんでした。ですから、いきなり塗装前の画像です。
How toではありませんので、とりあえずこんな感じで作ったというのを紹介出来ればと思います。
私個人の作品であると同時に自社製品を使用しているので、製作記&キットの説明になります。


ジープは3台ありますので1台づつ行きます。


■この車両はビッカース2連と単体で武装しています。ダッシュボード上にマウントされた銃架は天板を突き抜けシャーシーに固定されています。タミヤのキット、他社SAS改造用ガレージキットは天板上で固定する形を取っていますが、これでは銃の重さに耐えられません。弊社の改造キットはちゃんとシャーシーで銃架を固定する様にしてあります。
実際はその下のフレームに溶接しているかも・・・
ビッカーズは他キットのコピーではなく、(他のガレージキットのものはイタレリのコピー)図面を起こしてから原型を作っています。1/35には十分な情報量を盛り込めたと思います。




■ ボンネット、荷台には多くのジェリカンが積まれています。ラックの形状は数種類あり、これも現地改修でしょう。当時の写真から見られるものを作っています。ジェリカンは評価の高いタスカ社のものです。ジェリカン固定用のベルトは是非とも付けたいものです。薄いプラ板や鉛板が定番ですが、私はデューロパテを薄く延ばし、 乾燥後カットした物でベルトを作りました。デュロは乾燥後でも柔軟性あるので、めくれあがった状態やねじれを表現する事ができます。 バックルはキット付属のエッチングです。



■積荷は改造キット付属の弾薬箱やオイル缶、カップ、ストックから持ってきた木箱などをぎっしり積み込んでからエポキシパテで作ったシートを被せました。お陰で下の物はほとんど見えなくなりました。
ジェリカンにつり下げられたバッグ、水筒、ヘルメットのストラップは薄延ばしデューロパテで作っています。

■タイヤはジープパターンのものに加えて民間車用のタイヤ?を混ぜています。弊社キットではホィールとタイヤを別々にしていますので、ホィール無し状態が作れます。ドライヤーで暖めて少し柔らかくすれば、変形させることもできます。ロープで縛って取り付けているスペアタイヤには是非やってみて下さい。




■ドライバーと助手席の隊員は改造キットNo.1に入っているものを使っています。ただし、ドライバーはハンドルを握らせる様にパテで整形しました。助手席の隊員は顔の向きを変えたかったのでホーネットのものと交換しています。
石井啓之さんの原型は本当に素晴らしいです!


普通は車体とフィギュアを別々に塗装を済ませてから、接着すると思うのですが、私は座席とフィギュアに隙間が空いたり、浮いた感じにしたくなかったので塗装前に座席とフィギュアを接着して塗装し、車体に組み込みました。フィギュアは車内きちんと収めなくてはいけないのはもちろん、全てのフィギュアとの視点も合うように、十分に時間をかけて調整しました。この作品では一体感が一つのテーマでしたので、座り具合のみならず、ハンドルの握りなどにも注意しています。



 ■立っている将官は改造キットNo2に付属している物からボディを拝借し、エポキシパテでコートを作っています。厚みのある生地とシルエットの表現には苦労しました。
ジープとの一体感がでるように、車体に取り付けるバッグは将官の右脇腹と右腕に接着してあります。ジープにはバッグのストラップのみ付けてあります。両者の塗装を済ませた後、ベースにジープを固定してからフィギュアをジープとベースに接着、最後にストラップの長さを調整し接着。実に作業性の悪い方法ですが、車両とフィギュアとの一体感を出すためにやってみました。












次回は2号車の紹介です。^..^